パスワードを忘れたと言われたら

社員からはこう聞かれます
- パスワードを忘れてログインできません。どうすればいいですか?
- 何回か間違えたらロックされました。解除してもらえますか?
- パソコンのパスワードとメールのパスワードって同じでしたっけ?
ひと言でいうと
どの画面でログインできないかを教えてください。自分で再設定できる画面があればそこから、なければ管理者が本人確認をしてから仮のパスワードを発行します。
パスワードを忘れた社員は、仕事が止まって焦っています。ただ、本人がどのパスワードの話をしているのか区別できていないことも多くあります。まず「どの画面で止まっているか」を聞き出すところから始めます。
答えるときに押さえること
1最初に、どの画面のパスワードかを聞き分けます
社員が「パスワード」と言うとき、指しているものは1つとは限りません。パソコンを起動したときの画面と、Microsoft 365 や Google Workspace のログイン画面は、別のパスワードの場合があります。勤怠や経費などの業務システム、VPN の接続画面も、それぞれ違うことがあります。
「どの画面で、何と表示されているか」を聞き、できれば画面の写真を送ってもらいます。「アカウントがロックされました」と出ているなら、忘れたのではなく、間違えた回数が多すぎて一時的に止まっている状態です。会社の設定によっては、一定時間待つと自動で解除されます。
Windows では、パスワードの代わりに数字の暗証番号(PIN)でログインする設定もあります。社員が「パスワード」と言っていても、実はPINの場合があります。PINを忘れた場合は、画面の「PINを忘れた場合」から、会社のアカウントで本人確認をして設定し直せることがあります。
パソコンの起動時に、ディスクの暗号化の回復キーを求める画面が出ることもあります。Windows では BitLocker、Mac では FileVault という機能の画面です。これはパスワード忘れとは別の手続きなので、管理者に回します。
2社員が自分で再設定できる場合は、その手順を案内します
Microsoft 365 や Google Workspace では、管理者が許可していれば、社員が自分でパスワードを再設定できます。ログイン画面の「パスワードを忘れた場合」から進み、事前に登録した携帯電話番号や認証アプリで本人確認をする流れです。
この機能を有効にしているか、社員が連絡先を登録済みかは会社ごとに違います。登録していない社員はこの方法を使えないため、管理者による再設定に切り替えます。
新しいパスワードは、他のサービスで使っているものを流用しないよう伝えます。総務省の国民のためのサイバーセキュリティサイトは、パスワードを複数のサービスで使い回さないよう呼びかけています。
3管理者が再設定するときは、本人確認をしてから仮のパスワードを出します
自分で再設定できない場合は、管理者が管理画面から仮のパスワードを発行します。その前に、依頼してきた人が本当にその社員かを確かめます。チャットやメールでの依頼でも、アカウントが乗っ取られている可能性があるからです。
確認の方法は、内線や登録済みの携帯電話番号に折り返す、上長に在籍を確かめる、などです。仮のパスワードは依頼が来たのとは別の手段で伝え、初回のログインで変更させる設定にします。
多要素認証を使っている会社では、「機種変更したら認証できない」という相談も混ざります。多要素認証は、パスワードに加えてスマホの認証アプリなどで本人を確かめる仕組みです。この相談はパスワードではなく、認証方法の登録をやり直す手続きになります。
4忘れた以外の事情が隠れていないかも聞いておきます
「急にログインできなくなった」という相談には、誰かにパスワードを変えられた、身に覚えのないログイン通知が来た、というケースが混ざります。直前に怪しいメールのリンクからログインしていないかを聞き、心当たりがあれば乗っ取りの疑いとして扱います。
IPA は、偽のサイトにIDとパスワードを入力した場合は、速やかに変更するよう呼びかけています。同じパスワードを他のサービスでも使っていれば、そちらも変えます。
乗っ取りが疑われる場合は、再設定だけで終わらせず、管理者にログイン履歴を見てもらいます。パスワードを変えても、すでにログインしている端末からの接続が残ることがあります。管理者の画面から、その社員のログイン状態をすべて切る操作もあわせて行います。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 社員が自分でパスワードを再設定できる機能を有効にしているか
- パスワードの再設定を依頼する窓口と連絡手段
- 本人確認の方法(折り返す電話番号、上長への確認など)
- アカウントがロックされたとき、自動で解除されるまでの時間
- 業務システムごとのパスワードの管理者(情シスか、各システムの担当部署か)
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. パスワードを忘れてログインできないときは、どうすればいいですか?
A. まず、どの画面でログインできないかを確かめてください。
【Microsoft 365 / Google Workspace】のログイン画面なら、「パスワードを忘れた場合」から自分で再設定できます。本人確認には、事前に登録した【携帯電話番号・認証アプリ】を使います。
自分で再設定できない場合や、パソコンの起動時の画面、【業務システム名】で止まっている場合は、【情シス窓口の連絡先】に連絡してください。本人確認のため、【登録済みの電話番号】に折り返します。
「アカウントがロックされました」と表示されたときは、【30分】ほど待つと解除されます。
怪しいメールのリンクからログインした覚えがある場合は、連絡のときにそのことも伝えてください。
続けて聞かれやすいこと
新しいパスワードはどう決めればいいですか?
他のサービスで使っていない、長めのものにします。総務省のサイトでは、関係のない単語をいくつかつなげ、間に数字を挟む作り方も例に挙げています。会社に文字数などの決まりがあれば、それに合わせます。
パスワードは定期的に変えないといけませんか?
総務省のサイトでは、流出した事実がなければ変える必要はないとしています。会社の規程で変更の期限を決めている場合は、そちらに従います。流出や乗っ取りが疑われるときは、すぐに変えます。
パスワードをブラウザに覚えさせてもいいですか?
総務省のサイトは、ブラウザやスマホの保存機能、パスワード管理ツールを使うことを勧めています。ただし、共用のパソコンでは保存しない、会社が指定したツールだけを使う、といった社内ルールがあれば、それに従います。
答えるときに間違えやすいこと
- チャットで依頼されたからといって本人確認をせず、仮のパスワードを同じチャットに送ってしまう
- 「ロックされた」と「忘れた」を区別せずに再設定し、乗っ取りの試みを見落とす
- パソコンの起動時の画面とクラウドのアカウントが同じか別かを確かめずに、違う画面の手順を案内する
- 機種変更で多要素認証が通らなくなった相談を、パスワードの再設定で片付けようとする