怪しいメールが届いたと言われたら

社員からはこう聞かれます
- 社長の名前で「LINEグループを作ってほしい」ってメールが来たんですけど、本物ですか?
- 宅配業者を名乗るメールのリンクを押しちゃいました。大丈夫ですか?
- 取引先から添付ファイル付きのメールが来たんですが、なんか変な気がします
ひと言でいうと
リンクや添付ファイルは開かず、返信もせずに報告してください。すでにリンクを押したり何かを入力したりした場合は、どこまで操作したかを教えてもらえれば、次にすることを案内します。
怪しいメールの相談は、「開いてしまったけど大丈夫か」という不安とセットで来ることがよくあります。リンクを押した、添付を開いた、IDやパスワードを入れた、のどこまで進んだかで、次にすることが変わります。報告してくれたこと自体を責めない受け答えにします。
- はいIDやパスワード、カード番号を入力したか
- はいパスワードを変更し、管理者にログイン履歴を確認してもらう
- いいえ操作した内容を伝えて情シスに報告する
- はい
- いいえ開かずに削除し、情シスに報告する
答えるときに押さえること
1最初に、どこまで操作したかを聞きます
次のどこまで進んだかを聞きます。
・メールを見ただけ ・本文のリンクを押して、ページを開いた ・開いたページにIDやパスワード、カード番号などを入力した ・添付ファイルを開いた、または「コンテンツの有効化」などのボタンを押した
メールを見ただけなら、削除してもらい、同じメールが他の社員にも届いていないかを確かめます。何かを入力した、添付ファイルを開いた、という場合は担当者だけで判断せず、すぐ管理者に回します。IPA も、不審なメールや添付ファイルを開いてしまったら、すぐにシステム管理部門などへ相談・報告するよう呼びかけています。
報告を受けたら、まず知らせてくれたことにお礼を言います。同じメールを別の社員が開くこともあるので、報告が早いほど社内への注意が間に合います。
2差出人の表示だけで本物と判断しないよう伝えます
差出人の名前やメールアドレスは、送る側が自由に設定できます。IPA は、メールソフトに表示される送信元の情報でメールの真偽を確かめるのは困難だとしています。社長や取引先、宅配業者の名前が出ていても、それだけでは本物とは言えません。
本物かどうかは、メールに書かれた電話番号やリンクを使わずに確かめます。社長や上司からの依頼なら内線や対面で、取引先ならいつも使っている電話番号で確認します。サービスからのお知らせなら、ブックマークや公式アプリから自分でログインして見ます。
IPA は2026年3月に、社長をかたって LINEグループを作らせ、そのうえで振り込みを指示する手口に注意を呼びかけました。支払いや振込先の変更を求めるメールは、金額にかかわらず経理と上長に確かめてもらいます。
3IDやパスワードを入力した場合は、すぐに変更して履歴を見ます
会社のメールや Microsoft 365、Google Workspace のIDとパスワードを入力した場合は、すぐにパスワードを変えてもらいます。そのうえで、管理者にログイン履歴を確かめてもらいます。IPA は、同じパスワードを他のサービスでも使っていれば、そちらも変えるよう呼びかけています。
多要素認証を設定していれば、IDとパスワードを知られても、それだけではログインされません。IPA も不正ログインの防止に効果があるとしています。まだ設定していない社員には、この機会に設定してもらいます。
乗っ取られたアカウントからは、社内外に同じような怪しいメールが送られることがあります。送信済みのフォルダに身に覚えのないメールがないか、メールの転送設定が勝手に追加されていないかも、管理者が確かめます。
クレジットカード番号を入力した場合は、カード会社に連絡してもらいます。会社のカードなら、カードの管理担当にも知らせます。
4被害が広がりそうなら、社内への注意と外部への報告を進めます
同じメールが何人にも届いている場合は、件名や差出人名を示して、開かないよう社内に知らせます。フィッシング対策協議会は、フィッシングメールを info@antiphishing.jp に転送して報告する窓口を設けています。社員が個人で社外に転送すると社内の情報が混ざることがあるので、報告は担当者がまとめて行います。
アカウントの乗っ取りなどで、顧客や社員の個人データが漏えいした、またはそのおそれがある場合は、個人情報保護法の漏えい等報告の対象になり得ます。不正アクセスのように不正の目的による漏えい等は、本人の人数にかかわらず、個人情報保護委員会への報告が必要です。速報の目安は知った時点から3〜5日以内、確報の期限は60日以内です。この判断は、個人情報の責任者や管理者と一緒に行います。
自社の規程で確認すること
会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。
- 怪しいメールを報告する窓口と方法(転送先のアドレス、報告用のボタンなど)
- 添付ファイルを開いてしまったとき、パソコンをネットワークから外すかどうか
- 振込先の変更や急な支払いの依頼を確かめる手順
- 個人データの漏えいが疑われるときに判断する責任者
- 会社のクレジットカードの管理担当
社内FAQに貼れる回答文例
【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。
Q. 怪しいメールが届いたときは、どうすればいいですか?
A. リンクや添付ファイルは開かず、返信もしないでください。差出人に社長や取引先の名前が表示されていても、本物とは限りません。
【報告の方法(転送先アドレス、報告用のボタンなど)】で【情シス窓口】に報告してください。
すでに次の操作をした場合は、すぐに【情シス窓口の電話番号】に電話してください。
・リンク先のページにIDやパスワードを入力した
・添付ファイルを開いた
・カード番号などを入力した
支払いや振込先の変更を求めるメールは、メールに書かれた連絡先ではなく、【いつも使っている連絡先】に電話して確かめてください。
続けて聞かれやすいこと
リンクを押してページを開いただけで、何も入力していません
何も入力していなくても、報告してもらいます。ページを開いた時刻とメールの件名がわかれば、管理者が他の社員への影響を調べられます。ページを開いたあとに何かのファイルが保存されていたら、開かずに管理者に伝えてもらいます。
迷惑メールフォルダに入っていなければ安全ですか?
迷惑メールの振り分けは完全ではなく、怪しいメールが受信トレイに届くこともあります。どのフォルダに届いたかではなく、内容と差出人を別の手段で確かめます。
いつもの取引先のアドレスから、怪しいメールが来ました
取引先のアカウントが乗っ取られているかもしれません。メールには返信せず、いつも使っている電話番号で取引先に知らせます。自社の社員が添付ファイルを開いていないかも確かめます。
答えるときに間違えやすいこと
- 差出人の名前やアドレスが合っていることを理由に「本物です」と答えてしまう
- メールに書かれた電話番号に電話して、真偽を確かめるよう案内してしまう
- リンクを押した社員を責め、次から報告されなくなる
- パスワードを変えただけで終わり、転送設定の追加や送信済みのメールを確かめない
- 社員に各自でフィッシング対策協議会へ転送させ、社内の情報を含んだまま社外に出してしまう