経理

インボイス対応でない領収書でも精算できるか聞かれたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 登録番号が書いていない領収書なんですが、精算できますか?
  • 個人経営のお店で「うちはインボイスに対応していない」と言われました。経費にしていいですか?
  • レシートの宛名が自分の名前なんですが、大丈夫ですか?

ひと言でいうと

社内で制限を設けていなければ、登録番号のない領収書でも精算はできます。消費税の扱いは経理で分けて処理するので、社員にはいつもどおり申請してもらいます。

社員は「インボイスでない領収書は経費にならない」と思い込み、立て替えたお金が戻らないのではと心配しています。インボイスの有無で変わるのは会社が納める消費税の計算で、精算できるかどうかは社内の規程で決まります。

登録番号のない領収書の扱い
領収書に登録番号の記載があるか
  • はい
    消費税の控除に使える。いつもどおり申請してもらう
  • いいえ
    お店はインボイス発行事業者に登録しているか
    • はい
      登録番号入りの領収書を出し直してもらえないか確認する
    • いいえ
      経過措置の対象か経理で確認し、いつもどおり申請してもらう

出典:国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A 問113 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置」

答えるときに押さえること

1インボイスがないと変わるのは、会社の消費税の計算

インボイス制度が定めているのは、会社が消費税の仕入税額控除を受けるための条件です。原則として、帳簿と、登録を受けた事業者が発行したインボイスの保存が必要になります。

つまり、インボイスでない領収書だから精算できない、という決まりはありません。社員が業務のために立て替えたのであれば、社内の規程に沿って精算します。影響を受けるのは、その支払いに含まれる消費税を、会社の納税額から差し引けるかどうかです。社員には「精算はできます。消費税の処理は経理で行います」と伝えれば足ります。

2登録番号がない理由は2通りある

登録番号のない領収書には、2つの場合があります。

1つ目は、お店がインボイス発行事業者の登録をしていない場合です。個人経営の飲食店などで見かけます。この場合、インボイスは受け取れません。

2つ目は、お店は登録しているのに、古い書式や手書きの領収書で番号が抜けている場合です。登録しているお店なら、登録番号の入った領収書を出し直してもらえないか、社員から頼んでもらう方法があります。取引先の番号がわかっているときは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で番号を入力して、登録の状況を確かめられます。

3登録していないお店からの支払いは、経過措置で一部を控除できる

登録していないお店(免税事業者など)からの仕入れでも、一定の期間は消費税相当額の一部を控除できる経過措置があります。国税庁のQ&A(令和8年4月改訂)が示す割合は、2026年9月時点で次のとおりです。

2023年10月1日から2026年9月30日までの仕入れは80%です。2026年10月1日から2028年9月30日までは70%になります。その後は、2030年9月30日までが50%、2031年9月30日までが30%で、そこで経過措置は終わります。当初は2026年10月から50%に下がる予定でしたが、2026年度の税制改正で70%・50%・30%の3段階に見直されました。

経過措置を使うには、帳簿に「80%控除対象」など経過措置の対象である旨を書き、区分記載請求書と同じ事項が書かれた領収書を保存します。また、上限額があります。2024年10月1日以後に開始する課税期間から、1つの相手先からの対象の仕入れに上限が設けられました。2026年9月30日までに開始する課税期間は税込10億円、2026年10月1日以後に開始する課税期間は税込1億円で、これを超えた部分の仕入れには経過措置を使えません。

4インボイスがなくても控除できる取引もある

次のような取引は、インボイスがなくても、帳簿に必要な事項を書けば控除できます。代表的なのは、1回の運賃が税込3万円未満の電車・バス・船の運賃と、3万円未満の自動販売機での購入です。社員に支給する出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当のうち、通常必要と認められる部分も対象です。帳簿には「3万円未満の鉄道料金」のように、どの特例に当たるかを書きます。

また、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下の会社には少額特例があります。2029年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れなら、帳簿のみの保存で控除できます。相手がインボイス発行事業者でなくても対象です。自社が当てはまるかは、経理の責任者に確認しておきます。

5宛名が社員の名前になっている領収書の扱い

社員が立て替えたときのレシートや領収書に、社員個人の名前が宛名として書かれていることがあります。国税庁のQ&Aでは、宛名が会社以外の名前だと、そのままでは会社の仕入税額控除に使えないとしています。

ただし、その社員が会社に所属していることがわかる社員名簿などをあわせて保存していれば、控除して差し支えないとされています。名簿で特定できない場合は、社員が作った立替金精算書も必要です。社員名簿を保存している会社なら、社員には「宛名が自分の名前でも、そのまま出してください」と伝えて問題ありません。

社員が気をきかせて、宛名を自分で会社名に書き直してしまうことがあります。社員が手で書き直した宛名は、お店が書いたものではないので、控除の根拠として扱えません。宛名は書き換えずに、そのまま出すよう伝えておきます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 登録番号のない領収書でも精算を認めるか(金額や用途で制限するか)
  • 登録番号の確認を社員に求めるか、経理でまとめて行うか
  • 経過措置の対象を帳簿でどう区別するか(会計システムの税区分など)
  • 自社が少額特例の対象になるか
  • 立替払いの確認に使う社員名簿の保管場所

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 登録番号が書いていない領収書でも精算できますか?

A. 【社内規程で定める範囲で】精算できます。登録番号のない領収書も、いつもどおり【経費精算システム名】で申請してください。消費税の処理は経理で行います。

お店がインボイス発行事業者の登録をしている場合は、登録番号の入った領収書を出してもらえないか、お店に頼んでみてください。宛名がご自分の名前になっている領収書も、そのまま提出してかまいません。

【登録番号のないお店を継続して使う場合は、事前に経理へご相談ください。】わからないことは【経理担当の連絡先】までお問い合わせください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • インボイスでないことを理由に、精算そのものを断ってしまう
  • 2026年10月からの経過措置の割合を、改正前の予定だった50%で案内してしまう
  • 宛名が社員名の領収書を一律に差し戻してしまう

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。