経理

電車代やバス代の精算方法を聞かれたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 取引先に行ったときの電車代って、どうやって精算するんですか?
  • ICカードで乗ったので領収書がないんですが、大丈夫ですか?
  • タクシーを使った分も同じように出せますか?

ひと言でいうと

1回3万円未満の電車・バスの運賃は、税法上インボイスが要らないので、社内で決めた方法で日付・区間・金額を申請してもらえば足ります。タクシーや飛行機は領収書を受け取ってもらいます。

社員が知りたいのは、領収書の出ない電車やバスの運賃をどう申請するかです。交通系ICカードで払うと紙の記録が残らないため、証明できるものがないと不安に感じています。

電車・バスとタクシー・飛行機の精算の違い
電車・バス1回3万円未満タクシー・飛行機
インボイスの要否不要(公共交通機関特例)必要
申請に必要なもの日付・区間・金額を申請領収書
3万円以上になった場合特例の対象外、領収書が必要特例はもともと対象外

出典:国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A 問104 帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合」

答えるときに押さえること

11回3万円未満の電車・バスの運賃は、インボイスがなくてよい

インボイス制度では、1回の取引が税込3万円未満の公共交通機関の運賃について、鉄道会社などのインボイス交付義務が免除されています。支払う側の会社も、帳簿に一定の事項を書けば、インボイスを保存しなくても消費税の仕入税額控除ができます。国税庁はこれを公共交通機関特例と呼んでいます。

帳簿には、通常の記載事項に加えて「3万円未満の鉄道料金」のように特例の対象である旨を書きます。この場合、相手方の住所や所在地は書かなくてかまいません。社員から見ると、電車代やバス代に領収書は要らない、ということです。ただし、税法で要らないことと、社内で何を出してもらうかは分けて考えます。

2特例の対象になる乗り物と、ならない乗り物

特例の対象は、船、路線バス、鉄道やモノレールによる旅客の運送です。空港アクセスバスのような路線不定期運行や、予約して乗る乗合の運行も含まれます。特急料金、急行料金、寝台料金も対象です。一方、駅の入場料金は対象になりません。

タクシー、飛行機、レンタカーは、この特例の対象外です。タクシーや航空会社、レンタカー会社は簡易インボイスを発行できる事業に当たります。登録番号の入った領収書を受け取って提出してもらいます。

迷いやすいのはバスです。国税庁のQ&Aで対象とされているのは、道路運送法の一般乗合旅客自動車運送事業として運行するバス、つまり誰でも乗れる乗合バスです。団体で借りる貸切バスは、この一覧に入っていません。判断がつかない乗り物は、領収書を残してもらうよう伝えておくと、あとで困りません。

33万円は1回の取引の金額で判定する

3万円未満かどうかは、切符1枚ごとの金額ではなく、1回の取引の税込金額で判定します。国税庁のQ&Aでは、大人運賃13,000円の新幹線を4人分まとめて買うと、52,000円で判定するという例が示されています。この場合は特例の対象外なので、インボイスの保存が必要です。

1か月分をまとめた合計額で判定するわけでもありません。1か月の電車代が3万円を超えていても、1回ごとの乗車が3万円未満なら特例の対象です。複数人分をまとめて買ったときは、領収書を残してもらいます。なお、出張の旅費として社員に支給するものには、出張旅費等特例という別の扱いがあります。

4社内で出してもらう記録を決めておく

税法上インボイスが要らなくても、会社としては本当に業務で移動したかを確かめる必要があります。そのため、日付、訪問先、乗った区間、金額を申請してもらいます。経路検索の結果の画面や、交通系ICカードの利用履歴を印字したものを添付してもらう会社もあります。

通勤定期の区間と重なる移動を精算の対象にするかは、社員から質問が来やすいところです。定期区間を含む経路の扱いと、最安の経路ではなく速い経路を使ってよい条件も、規程で決めて案内します。交通系ICカードにチャージした金額の領収書は、どの移動に使ったかがわかりません。精算は乗った区間ごとに申請してもらいます。

5返事では「領収書は要らない」と「代わりに書くもの」をセットで伝える

「領収書は要りません」とだけ伝えると、社員は何も記録を残さずに申請してきます。要らない理由を説明するより、代わりに何を入力すればよいかを具体的に伝えます。

タクシーの扱いも一緒に聞かれやすいところです。タクシーは領収書が必要なことと、使ってよい条件(重い荷物がある、終電を過ぎたなど)をあわせて案内しておきます。そうすれば、同じ社員から続けて問い合わせが来るのを防げます。

新しく入った社員は、前の会社のやり方で申請してくることがあります。入社時の案内に、電車代の申請方法を1枚で載せておくのも手です。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 電車・バス代の申請に使うシステムと、入力する項目
  • 経路検索の画面や交通系ICカードの利用履歴を添付してもらうか
  • 通勤定期の区間と重なる移動の扱い
  • 最安の経路以外(特急、新幹線など)を使ってよい条件
  • タクシーを使ってよい条件と、領収書の提出方法
  • 近距離の外出と出張を分ける基準(距離や時間)

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 電車やバスで取引先に行ったときの交通費は、どうやって精算しますか?

A. 【経費精算システム名】で、日付・訪問先・乗った区間・金額を入力して申請してください。1回の運賃が3万円未満の電車・バスは、領収書は不要です。【経路検索の結果の画面を添付してください。】

通勤定期の区間と重なる部分は【精算の対象外】です。特急や新幹線を使う場合は、【事前に上長の承認】を受けてください。

タクシーや飛行機を使った場合は、領収書が必要です。わからないことは【経理担当の連絡先】までお問い合わせください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • タクシーや飛行機にも3万円未満の特例が使えると案内してしまう
  • 3万円未満かどうかを、切符1枚ごとの金額で判定してしまう
  • 交通系ICカードのチャージの領収書で精算を受け付けてしまう

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。