人事・労務

年末調整の書類の書き方を聞かれたら

2026年9月14日に内容を確認

社員からはこう聞かれます

  • 年末調整の書類、どこに何を書けばいいかわかりません
  • 去年の控えと同じように書けば大丈夫ですか?
  • 生命保険の控除証明書をなくしてしまいました

ひと言でいうと

扶養控除等申告書と、基礎控除申告書などをまとめた兼用の申告書は、原則として全員が出します。保険料控除と住宅ローン控除の申告書は、当てはまる人だけ出します。2026年分は家族の所得の基準が変わったので、去年の控えを写さずに書いてください。

年末調整の書類は毎年似ていますが、2026年分は基礎控除や扶養の基準が変わり、去年の控えを写すと誤る箇所があります。社員が迷うのは、どの申告書に何を書くか、どの証明書を添えるか、家族の所得をいくらと書くか、の3つです。

年末調整で提出する申告書の違い
対象になる人書く内容
扶養控除等(異動)申告書原則として全員扶養控除・障害者控除など
基礎控除申告書等の兼用様式原則として全員基礎控除・配偶者控除など
保険料控除申告書該当する人だけ生命保険料・地震保険料など
住宅借入金等特別控除申告書住宅ローン控除2年目以降の人だけ住宅ローン控除の金額

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」

答えるときに押さえること

1どの申告書に何を書くかを、先に伝えます

国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」によると、社員が出す申告書は大きく4つです。1つ目の扶養控除等(異動)申告書は、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除に使います。2つ目は、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書が1枚になった兼用の様式です。

3つ目の保険料控除申告書は、生命保険料、地震保険料、自分で払った国民年金保険料などの社会保険料、小規模企業共済等掛金がある人が出します。4つ目の住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローン控除の2年目以降の人だけです。住宅ローン控除の1年目は、本人が確定申告をします。

22026年分は、基礎控除と家族の所得の基準が変わりました

令和8年度税制改正で、基礎控除の本来の額が58万円から62万円に上がりました。2026年分と2027年分は、合計所得金額655万円以下の人に上乗せがあり、合計所得金額489万円以下の人の基礎控除は104万円です。給与所得控除の最低額も、2026年分と2027年分は65万円から74万円に上がりました。

社員の記入に直接影響するのは、家族の所得の基準です。扶養親族と同一生計配偶者は、合計所得金額62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)になりました。配偶者特別控除の対象は、62万円超133万円以下(給与だけなら年収136万円超207万円以下)です。去年は対象外だった家族が、今年は対象になることがあります。

3家族の所得は、年収ではなく合計所得金額の見積額を書きます

兼用の申告書の配偶者の欄や、扶養控除等申告書の家族の欄には、その年の合計所得金額の見積額を書きます。12月までに受け取る見込みの分も含めた1年分です。給与だけの家族なら、年収から給与所得控除を引いた金額が給与所得です。年収をそのまま所得の欄に書かないよう伝えます。

19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円を超える家族は、扶養控除の欄ではなく特定親族特別控除の欄に書きます。16歳未満の子どもは所得税の扶養控除の対象ではありませんが、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」の欄に書きます。国税庁の「年末調整がよくわかるページ」には申告書の記載例が載ります。ただし2026年9月時点では、令和8年分の情報は10月頃に公開予定です。

4保険料の控除証明書は、申告書に添えて出します

生命保険料控除を受けるには、保険会社から届く控除証明書を保険料控除申告書に添えます。旧生命保険料で1契約の年間の保険料が9,000円以下のものは不要ですが、それ以外は金額にかかわらず必要です。自分で払った国民年金保険料にも、支払いを証明する書類が要ります。電子データで受け取った控除証明書は、国税庁のシステムで二次元コード付きの書面にして使えます。

証明書をなくした場合は、保険会社に再発行を頼んでもらいます。生命保険料の証明書が年末調整に間に合わなくても、翌年1月末までに出すことを条件に、控除した形で年末調整をしてよい扱いがあります。2026年分と2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる人の一般生命保険料控除の上限が6万円に上がりました。当てはまる社員には、計算の欄を見直してもらいます。

5年の途中で家族や本人の状況が変わった人は、申告漏れを確かめます

扶養控除等申告書は、本来はその年の最初の給与を受け取るまでに出し、年の途中で内容が変わったらその都度出し直すものです。出し直しを忘れている人も、年末調整をするときまでに申告すれば、その内容で年末調整ができます。

国税庁は、特に次の人の申告漏れに注意するよう示しています。扶養していた家族が就職や結婚で扶養から外れた人、年の途中で本人が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生にあたるようになった人、扶養する家族が障害者にあたるようになった人です。2026年分は、改正で新たに扶養の対象になった家族がいる人も加わります。社員への案内文に、この一覧を入れておきます。

自社の規程で確認すること

会社によって答えが変わる部分です。社員に答える前に確かめてください。

  • 申告書の配り方と提出期限(紙か、年末調整のシステムか)
  • 使っている年末調整のシステムの名前と入力画面
  • 書き方の問い合わせ先と受付期間
  • 控除証明書の原本の出し方(提出箱、社内便、画像の登録など)
  • 年末調整の還付や追加の徴収を反映する給与の月

社内FAQに貼れる回答文例

【】の部分を自社の内容に書き換えて使えます。

回答文

Q. 年末調整の書類は、何をどう書けばいいですか?

A. 【提出期限】までに、【年末調整システム名または配付した用紙】で次の申告書を出してください。「扶養控除等(異動)申告書」と「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、原則として全員が出します。生命保険料、地震保険料、自分で払った国民年金保険料などがある人は「保険料控除申告書」に書き、保険会社などから届いた控除証明書を添えてください。住宅ローン控除の2年目以降の人は、税務署から届いた「住宅借入金等特別控除申告書」と必要な証明書を出してください。2026年分は、家族の所得の基準が変わりました(給与だけのご家族なら年収136万円以下で扶養親族になります)。去年の控えを写さず、今年の見込みで書いてください。書き方がわからないときは【問い合わせ先】に連絡してください。

続けて聞かれやすいこと

答えるときに間違えやすいこと

  • 2026年分は扶養親族の所得の基準が58万円から62万円に上がったので、去年の基準で「対象外」と答えないようにします
  • 年収をそのまま合計所得金額の欄に書いた申告書は、給与所得控除を引いた金額に直してもらいます
  • 特定親族特別控除の対象の家族を扶養控除にも書いていないか、両方の欄を見比べます

出典

2026年9月14日時点で内容を確認しています。