解説記事

総務・人事に来る問い合わせの種類と、AIに任せられるもの

総務・人事に来る問い合わせは、道案内、個別の照会、依頼、相談の4種類に分けられます。AIに任せやすいのは規程やマニュアルに答えがある道案内で、相談は担当者が受けます。仕分けの手順付き。

2026年9月14日公開

担当者が届いた問い合わせを4つのトレーに仕分けている

総務・人事に来る問い合わせは、4種類に分けて考えると、AIに任せる範囲を決めやすくなります。答えが規程やマニュアルに書いてある「道案内」と、社員ごとの情報を調べないと答えられない「個別の照会」があります。残りの2つは、手続きそのものを頼まれる「依頼」と、事情を聞いて判断する必要がある「相談」です。AIに任せやすいのは道案内で、個別の照会と依頼は案内までをAIに、中身を担当者やシステムに分けます。相談はAIに答えさせず、担当者が受けます。

問い合わせを4つに分ける

2人の担当者が、問い合わせの紙を4つの山に分けながら相談している

4つの種類の違いは、答えるのに何が要るかです。

種類 どんな問い合わせか 答えるのに要るもの
道案内 答えが規程やマニュアルに書いてある 引っ越したときの手続き、会議室の予約方法、経費精算の締め日 最新の規程やマニュアル
個別の照会 社員本人の情報を調べないと答えられない 有給休暇の残り日数、給与の控除額 勤怠や給与のシステムの情報
依頼 書類の発行や設定の変更を頼まれる 源泉徴収票の再発行、在職証明書の発行 担当者の作業、社内の承認
相談 本人の事情を聞いて判断する 産休や育休の取り方、体調を崩したときの休み方、職場の人間関係 担当者の判断、本人とのやりとり

1つの問い合わせに複数の種類が混ざることもあります。「有給があと何日あって、どうやって申請するか」は、残り日数が個別の照会、申請方法が道案内です。仕分けるときは、問い合わせの中の一番重い部分で決めます。この例なら個別の照会です。

問い合わせの種類の見分け方
規程やマニュアルを読めば、誰が答えても同じ答えになるか
  • はい
    道案内。AIに任せやすい
  • いいえ
    社員本人の情報が要るか
    • はい
      個別の照会。案内までをAIに任せる
    • いいえ
      担当者の手が要るか
      • はい
        依頼。案内までをAIに任せる
      • いいえ
        相談。AIに答えさせず担当者が受ける

道案内の問い合わせはAIに任せやすい

道案内の問い合わせは、答えが文書になっています。社員が困っているのは、答えの場所がわからないことと、規程の言葉で探せないことです。社員は「引っ越した」と聞きますが、規程には「住所変更届」と書いてあります。

AIは、社員の言い方と規程の言葉の違いを埋めるのが得意です。「引っ越したんですけど何か出すものありますか」と聞かれて、住所変更届と通勤手当の変更をまとめて案内できます。答え方の中身は引っ越したときの手続きを聞かれたらを見ると、どこまで案内すればいいかがわかります。

ただし、任せる前に次のことを確かめます。

  • AIに読ませる規程やマニュアルが最新になっているか。古い版が混ざっていると、古い答えを返します
  • 拠点や雇用区分によって答えが違う箇所が、文書の中で書き分けてあるか
  • AIが答えられないときに、担当者へつなぐ流れがあるか
  • AIの答えに、根拠にした規程やマニュアルのリンクが付くか

2つ目の確認は見落としやすいところです。「健康診断の会場」は拠点によって違い、「慶弔休暇の日数」は正社員と契約社員で違うことがあります。文書に書き分けがなければ、担当者が聞いても答えられないので、AIも正しく答えられません。

道案内に見えて、途中から相談に変わる問い合わせもあります。「引っ越しの手続きを教えてください」のあとに「通勤が遠くなるので、勤務地を変えてもらえますか」と続くような場合です。前半は住所変更の案内で済みますが、後半は本人の事情を聞いて会社が判断する話です。AIには、判断が要る話が出てきた時点で答えるのをやめ、担当者につなぐように決めておきます。

個別の照会と依頼は、案内と作業を分ける

担当者が発行した書類を封筒に入れて社員に渡している

個別の照会と依頼は、AIに全部を任せるのではなく、案内する部分と調べたり作業したりする部分を分けます。

問い合わせ AIが返せる範囲 担当者やシステムがやること
有給休暇の残り日数 残り日数を見られる画面と見方を案内する 本人が【勤怠システム名】で確認する。表示がおかしければ担当者が調べる
源泉徴収票の再発行 発行を頼む方法と、届くまでの目安を案内する 担当者が発行して渡す
在職証明書の発行 申請の方法と、申請のときに伝えてほしいこと(提出先など)を案内する 担当者が作成し、社内の承認を取る
給与の控除額 給与明細のどこを見ればいいかを案内する 金額の中身は担当者が調べて本人に個別に伝える

社員本人の残り日数や金額をAIに答えさせるには、勤怠や給与のシステムとつなぐ必要があります。つながっていない状態で答えさせると、推測で数字を返すおそれがあります。最初は「どこを見ればわかるか」までをAIに任せ、数字は本人がシステムで見る形にすると安全です。

それぞれの答え方は、有給休暇があと何日残っているか聞かれたら源泉徴収票が欲しいと言われたらにまとめています。

相談はAIに答えさせない

相談は、本人の事情を聞かないと答えが決まりません。産休や育休の取り方ひとつでも、出産予定日、雇用契約の期間、配偶者の休業の予定によって話が変わります。一般的な流れの説明までならAIでも返せますが、本人に合わせた答えは担当者が出します。

相談の中には、体調や病気のことなど、個人情報保護法で「要配慮個人情報」とされる情報が含まれることがあります。病歴や健康診断の結果がこれに当たり、取得には原則として本人の同意が必要です。

生成AIのサービスに個人情報を含む内容を入力することについては、個人情報保護委員会が2023年6月に注意点を公表しています。1つは、入力する個人情報が利用目的の達成に必要な範囲内かを確認することです。もう1つは、個人データを入力する場合に、サービス提供者がそれを機械学習に使わないことなどを確認することです。社内の問い合わせにAIを使うときは、サービスを選ぶ段階でこの点を確かめます。

相談だとわかったら、AIは中身に答えず、担当者につなぐだけにします。つなぐときの案内文の例です。

この内容は、【担当部署名】の担当者が直接お話を伺います。 【担当者名】から【当日中】に個別にご連絡します。

相談が来たときの流れ
  1. 1AI相談だとわかったら中身に答えない
  2. 2AI担当者につなぐ案内文を返す
  3. 3担当者本人に個別に連絡する【当日中】
  4. 4担当者本人の事情を聞いて答えを出す

関連する答え方は、産休や育休を取りたいと相談されたら結婚や出産、身内の不幸を会社にどう伝えるか聞かれたらにまとめています。

任せ始めてからの2週間は、AIの答えを担当者が読む

朝、ノートPCでAIの答えを読み、紙に確認の印を付ける担当者

AIに道案内を任せ始めたら、最初の2週間は、AIが返した答えを担当者が毎日読みます。見るのは次の3つです。

  • 規程やマニュアルと違う答えを返していないか
  • 答えられずに担当者へつないだ質問は何だったか
  • 社員が同じ質問を言い方を変えて聞き直していないか

違う答えや答えられなかった質問が見つかったら、多くの場合、原因は元の文書にあります。古い版が残っている、拠点ごとの違いが書いていない、社員の言い方と見出しが離れている、などです。AIの設定より先に文書を直します。聞き直しが多い質問は、AIの答えが長すぎるか、社員が知りたいことに先に触れていないことが多いので、答えの書き出しを見直します。

自社の問い合わせを4つに仕分ける手順

AIに任せる範囲を決める前に、自社に来ている問い合わせがどの種類に偏っているかを確かめます。50件ほどなら、担当者1人でも進められます。

自社の問い合わせを4つに仕分ける手順
  1. 1過去1か月分の問い合わせを50件ほど書き出す
  2. 21件ずつ4つの種類のどれに当たるかを書く
  3. 3道案内の横に、答えが書いてある規程やマニュアルの名前を書く
  4. 4答えの文書が見つからなかった道案内に印を付ける
  5. 5種類ごとの件数と、印の付いた件数を数える

どれに当たるか迷ったら、「規程やマニュアルを読めば、誰が答えても同じ答えになるか」で判断します。同じ答えになるなら道案内、本人の情報が要るなら個別の照会、担当者の手が要るなら依頼、事情によって答えが変わるなら相談です。

仕分けた結果によって、先に手を付けるところが変わります。道案内が多ければ、AIに任せる効果が出やすい会社です。手順4で印の付いた問い合わせが多ければ、AIを入れる前に、その答えを文書に書き足すところから始めます。個別の照会が多い場合は、社員が自分で情報を見られる画面を案内するほうが先です。依頼が多い場合は、申請の窓口と書式を1つに揃えると、申請の方法を聞く問い合わせが減ります。

道案内の問い合わせからAIに任せてみる場合、株式会社AutomagicaのカリスマAIも選択肢の1つです。社員の問い合わせにAIが回答し、答えられないときは担当者につなぎます。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chatに対応しており、フリープランは月額0円で月50回まで使えます。

出典