解説記事

社内問い合わせ対応にかかっている時間の測り方

社内問い合わせ対応の時間は、2週間だけ1件ごとに受付と終了の時刻、種類、調べものの有無を記録シートに書くとわかります。シートの列の例、2週間の手順、集計表の形を紹介します。

2026年9月14日公開

置き時計を見て、付箋に時刻を書き留める担当者

社内の問い合わせ対応にかかっている時間は、2週間だけ、問い合わせ1件ごとに記録を付けるとわかります。書くのは、受けた時刻と終わった時刻、問い合わせの種類、調べものや他の人への確認が要ったか、の4つが中心です。細かく正確に測ることより、5分で終わった問い合わせも含めて毎件書くことを優先します。1件の記入は30秒ほどで済む形にしておくと、2週間続けられます。

感覚ではなく記録で測る理由

作業の途中で、書類を持った同僚に声をかけられる担当者

問い合わせ対応は、1件ずつは短く、1日に何度も割り込んできます。そのため、担当者本人も「1日にどれくらい使っているか」を感覚ではつかめません。上司に人手や仕組みの相談をするときも、「問い合わせで忙しい」だけでは判断の材料になりません。

記録を付けると、次のことがわかります。

  • どの種類の問い合わせに、合計で何時間使っているか
  • 答えが規程やマニュアルに書いてあるのに聞かれている問い合わせが、どれくらいあるか
  • 同じ質問が何度来ているか
  • 何曜日や月のどの時期に問い合わせが増えるか

2つ目と3つ目がわかると、何から手を付けるかが決まります。時間を測る目的は、忙しさを証明することより、減らせる問い合わせを見つけることにあります。

記録シートの列

記録には、スプレッドシートを1枚使います。窓口の担当者が複数いるなら、全員で同じシートに書きます。列は次のとおりです。必須の列だけでも集計はできるので、続けられそうにないと感じたら任意の列を省きます。

必須か 書き方 記入例
受付日 必須 年月日 2026/10/1
受付時刻 必須 問い合わせを読んだ、または電話を取った時刻 9:12
終了時刻 必須 答えを送った、または電話を切った時刻 9:20
対応時間(分) 必須 数式で自動計算する 8
入口 必須 チャット、電話、メール、対面から選ぶ チャット
種類 必須 道案内、個別の照会、依頼、相談から選ぶ 道案内
内容の要約 必須 20字程度。社員の名前や個人の事情は書かない 住所変更の書類の場所
調べもの・確認 必須 なし、資料を調べた、他の人に確認した、から選ぶ 資料を調べた
答えの資料 任意 答えが書いてある規程やマニュアルがあったか あった
前にも来たか 任意 同じ質問を前にも受けた覚えがあるか ある
対応者 任意 担当者の名前 【担当者名】

種類の4つは、次の意味で使います。道案内は答えが規程やマニュアルに書いてある問い合わせ、個別の照会は社員本人の情報を調べないと答えられない問い合わせです。依頼は書類の発行や設定の変更を頼まれるもの、相談は本人の事情を聞いて判断が要るものを指します。

上の表の順に列を並べると、受付時刻がB列、終了時刻がC列になります。対応時間の列に =(C2-B2)*24*60 と入れると、分単位で出ます。入口、種類、調べもの・確認の列はプルダウンにしておくと、書く手間が減り、あとで集計するときに表記がそろいます。

途中で別の仕事に呼ばれて、答えるまでに間が空くことがあります。そのときは受付から終了までをそのまま書き、中断していた時間は差し引きません。中断が多いこと自体が、問い合わせ対応の負担だからです。

2週間の手順

2週間にするのは、曜日による偏りをならすためです。月初や月末、経費精算や勤怠の締め日を含む週は問い合わせが増えやすいので、測る期間に締め日が入るように始める日を選びます。締め日の前後に何が聞かれるかは、経費精算の締め日を聞かれたらも参考になります。

記録を付ける2週間の流れ
  1. 1シートを作り、プルダウンを設定する列の書き方と種類の分け方を説明する。目安1時間始める前の日
  2. 2受けたら受付時刻だけすぐ書く答え終わったら残りの列を書く。1件30秒1日目から
  3. 3その日の書き漏れを埋める送受信の時刻を見て埋める。5分毎日、終業の前
  4. 4迷った問い合わせを見せ合い、分け方をそろえる15分1週目の終わり
  5. 51週目と同じように続ける1件30秒2週目
  6. 6集計して、上司に共有する1〜2時間終わった翌日

1週目の終わりのすり合わせは省かないようにします。「有給休暇の残り日数と申請方法をまとめて聞かれた」ような問い合わせがあったとします。ある担当者は道案内、別の担当者は個別の照会と書いていると、集計の数字が意味を持たなくなります。迷ったら、問い合わせの中で一番手間のかかる部分で種類を選ぶ、と決めておきます。

測る前に担当者へ伝えておくこと

記録の目的を説明され、もう1人の担当者が安心してうなずいている

記録を始める前に、窓口の担当者全員に目的を伝えます。1件の対応時間が記録に残ると、「対応が遅いと思われるのでは」と気にする担当者がいます。そう感じると、時間を短めに書いたり、手間のかかった問い合わせを書かなかったりします。

伝えることは次の3つです。

  • 担当者ごとの速さを比べるための記録ではない。集計は種類ごとにだけ出す
  • 時間がかかった問い合わせほど、書いてもらえると助かる。仕組みを直す手がかりになる
  • 2週間で終わる。延ばす場合は、もう一度相談する

対応者の列を任意にしているのも、このためです。担当者が複数いて、誰が受けたかを残す必要がなければ、列ごと外してかまいません。

書き漏れを防ぐ工夫

書き漏れが出やすいのは、電話と立ち話です。チャットやメールは送受信の時刻が残るのであとから埋められますが、電話と対面は記録が残りません。

問い合わせを記録シートに書くタイミング
チャットやメールで受けた問い合わせか
  • はい
    送受信の時刻を見て、あとから埋める
  • いいえ
    電話で受けた問い合わせか
    • はい
      付箋に時刻と一言書き、終業前にシートへ写す
    • いいえ
      席や廊下で聞かれたものも1件として書く
  • 電話を取ったら、手元の付箋に時刻と一言だけ書き、終業前にシートへ写す
  • 席まで聞きに来た社員への対応も1件として書く。廊下で聞かれたものも同じ
  • 5分以内に終わった問い合わせも書く。短い問い合わせの積み重ねが、合計時間の中で大きな割合を占めることがある
  • 担当者が休んだ日の問い合わせは、代わりに答えた人が書く

年末調整の時期のように、同じ種類の問い合わせが一度に大量に来る時期は、測る期間から外すか、別の期間として分けて集計します。ふだんの2週間と混ぜると、年間の見積もりがずれます。この時期の問い合わせは年末調整の書類の書き方を聞かれたらで扱っています。

集計の仕方

電卓を横に、ノートPCで記録を集計する担当者

2週間分がたまったら、ピボットテーブルで種類ごとに集計します。表の形は次のとおりです。

種類 件数 合計時間(分) 1件あたりの平均(分) 答えの資料があった件数 前にも来た件数
道案内 【】 【】 【】 【】 【】
個別の照会 【】 【】 【】 【】 【】
依頼 【】 【】 【】 【】 【】
相談 【】 【】 【】 【】 【】
合計 【】 【】 【】 【】 【】

1か月あたりの時間に直すときは、2週間の合計時間を測った期間の営業日数で割り、1日あたりの時間を出します。それに1か月の営業日数を掛けます。

表ができたら、次の3か所を見ます。

  1. 合計時間が一番長い種類。件数が少なくても、1件が長い種類はここで目立つ
  2. 道案内のうち「答えの資料があった」件数。資料があるのに聞かれているので、資料の場所や探し方を直せば減らせる
  3. 「前にも来た」件数が多い内容の要約。同じ質問は、社内FAQに載せるか、答えの文例を用意する

測ったあとにやること

同じ質問が何度も来ていたら、答えの文例を用意します。パスワードや有給休暇の申請方法は、繰り返し聞かれやすい質問です。パスワードを忘れたと言われたら有給休暇の申請方法を聞かれたらの文例を自社用に書き換えれば、次からは貼って返せます。

上司への共有は、数字と、それを踏まえて何をしたいかを短く書きます。

【期間】の2週間、社内の問い合わせ対応の時間を記録しました。 合計は【合計時間】で、1か月に直すと【月あたりの時間】です。 そのうち【道案内の件数】件は、規程やマニュアルに答えがある問い合わせでした。 まず、よく来る【質問の数】個の質問について、答えの場所を社内に案内し直したいと考えています。

同じ記録シートを、対策をしたあとにもう一度2週間付けると、変化を比べられます。1回目と同じ列、同じ種類の分け方で測るようにします。

測ったあとの進め方
  1. 1同じ質問には答えの文例を用意する
  2. 2数字とやりたいことを上司に共有する
  3. 3同じ列と種類の分け方でもう2週間記録する対策のあと
  4. 41回目の記録と比べる

道案内の問い合わせが多いとわかった場合は、AIに一次対応を任せる方法もあります。株式会社AutomagicaのカリスマAIは、社員の問い合わせにAIが回答し、答えられないときは担当者につなぎます。Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chatに対応しており、フリープランは月額0円で月50回まで使えます。